• 2021/08/25
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スマートキャンプ マーケティング本部長・佐々木皇太が語る 「SaaS×キャリア」の探し方【後編】

  • マーキャリ 編集部
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目次

前編に続いて、SaaSマーケティングプラットフォーム「BOXIL SaaS(ボクシル サース)」を運営するスマートキャンプ株式会社マーケティング本部長の佐々木皇太さんへのインタビューです。後編ではThe Model型と呼ばれる営業分業組織におけるキャリアについてフォーカスしています。

セールス、カスタマーサクセス、マーケティング人材の評価ポイント

正守:セールスというくくりで、評価される人物はどのような人ですか?


佐々木:まずセールスに限らず、The Model型の職種の方々全員に共通して言えることですが、自分の後工程を担当する人とのコミュニケーションやフィードバック、それぞれの数字理解が意識してできるかは大事だと思います。 例えばセールスでも、受注して契約まで行けたとしても、実は顧客のニーズとセールスの話がかみ合っておらず、すぐに解約されてしまった、などの例もあります。 それを回避するために、ちゃんと後工程のことを意識して仕事できるかどうかは大切です。 セールスならではで言うと、

そもそもSaaSは売って終わりのビジネスというよりかは使ってもらって初めて価値の発生するビジネスです。 そのためイメージはコンサルティングに近くて、SaaSを使った結果、どの課題が解決されるかという解決事例や、課題解決への解像度の高さをいかに持っているかが、セールスとして活躍できるかどうかを分けるポイントだと思います。 実際に、あるSFAツールを一番売っている営業の方は、パソコンの資料フォルダに業界や職種別の事例などがすべて格納されています。 お客様の話を聞きながら「あ、じゃあ貴社の場合ならこの事例を使うと良い感じにできそうですね」とすぐに引き出せたりするので、その引き出しの多さがセールスとして活躍するために凄く大事だなと思いますね。


正守:カスタマーサクセスの場合はいかがでしょうか?


佐々木:カスタマーサクセスならば、より実行の部分が重要視されると思います。 セールスの方ですと、顧客の期待値を調整して活用のイメージを持ってもらうところまでが仕事ですが、カスタマーサクセスだと実際のお客様の期待ややりたいことを実現するために伴走することが大事です。 SaaSではシステムや技術的なところに、お客様がつまずきやすいポイントがあります。そのつまずきポイントを解決するために、メールや指示書を送り、また失敗して、を何度も繰り返していると、結局解決するために1カ月以上も要してしまう、というケースがあります。

そこで技術的な部分を少し勉強しておくと、開発チームや技術者を通さずにダイレクトにフィードバックができるので、無駄費やす時間を削減できます。 そういった技術的なところにも踏み込み、よくつまずきがちなポイントをスピーディーに解決できている方、ツールの仕様を把握されている方は頼りになりますし、アップセルもされている印象です。スピード感に加え、内部の連携も大切ですね。

優秀なマーケターになるためには、マーケ以外のことを日常業務にも入れる

正守:佐々木さんが従事しているマーケティング職について詳しく伺っていきたいのですが、まずマーケターの魅力について教えてください。


佐々木:未経験からマーケターへ転職した場合、大きなビジネス感覚が身につくところが一番の魅力でしょうか。1個の事業全体を俯瞰して見られることがマーケターの仕事の醍醐味です。そこを経験すると、スペシャリストとしてのパスも、経営としてのパスも手に入れられるため、キャリアが広がりやすいですね。


正守:今、マーケティング部門でマーケティング業務をしている人に具体的なアドバイスをするとしたら何を伝えますか。


佐々木:マーケティングの種類にもよりますが、BtoBマーケの前提で話すと、営業に行ったり顧客の担当にさせてもらったりした方が手っ取り早いと思います。 ターゲットとなるお客様の課題、ニーズに対する理解の深さがマーケとして良いコンテンツを生み出せるかにつながってくることが多いので、それが浅いとマーケティングとしても、中々良い効果が出せないんですよね。


もしマーケティングで数字が伸び悩んでいる方にアドバイスするならば、営業同行したり、あるいはカスタマーサクセスの商談とか定例に参加したりとか、極端にいえば担当する顧客を持ったりしたら顧客理解が深まって、効果につながりやすいのかなと思います。


正守:マーケティング未経験の方がBtoBマーケティング組織に所属するためにはどのような道が考えられますか?


佐々木:実はマーケティングでなくても、マーケティングらしい思考や企画的なスキルなどは、日々の仕事の仕方によって身につけることができるのです。


例えばですが、営業する中で、新規で10通メールを送っても、返ってくる人と返ってこない人がいますよね。 そこで、その差について考えたり、メールの仕方に改善を加えたりするのです。 同じメールでも、例えば最初の2行でメールの用件について簡潔に箇条書きをして、ニーズや具体的な解決策や事例を述べる。その上で、提案をご希望される場合は商談しましょう、と結ぶと、返信率や商談率が倍以上になります。


日々の業務の中で、自分がやっていることを分解しきって定量化し目標にして、改善できるまで試行錯誤することが、マーケティング的な思考を身につける土台になると思います。PDCAの土台をしっかりと作って、その環境を日々の業務に取り入れるのです。

スペシャリストが縦の深さだとしたらマーケターは横の広さが大切

正守:次にマーケターにとってのキャリアアップ方法について教えてください。


佐々木:大きくルートとしては2つあると思っています。 1つはマーケティングのスペシャリストとしてWebやその界隈の施策について詳しくなることです。


例えば、広告運用だったらGoogleとFacebookなどの広告媒体をひたすら知り尽くして、運用だったら誰にも負けないレベルまで到達し、それに加えてSaaS業界やBtoC業界などについて知ること。つまり「自分の得意領域を持った上で専門性のあるスキル」を持っていると、この業界でキャリアアップできると思います。


もう1つは、マネジメントや経営側に行くルートです。

マーケターはこちらのほうがやりやすいと思います。というのも、セールスだと目の前のお客様の個別の課題を解決することに対して評価が高いのです。 一方で、マーケターは全体の売上向上と過去の施策が会社全体・事業全体にどれくらいインパクトを与えたかが評価軸になりやすいので、全体を俯瞰して見やすい職種です。


そこまでやると経営サイドに近くなるので、二つ目のキャリアパスとしてキャリアアップになると思います。私はこっち側ですね。


正守: スペシャリストを突き詰めていくためには数をこなすことが大切ですか?


佐々木:おっしゃる通り、数をこなすことは大切です。また、数をこなし続ける上で、スペシャリストは元の性質の部分が凄く大事で、元の性格上飽きやすい人だとスペシャリスト側には来づらいと思います。「オタク」じゃないと絶対成功できないんですよ。


何か1つのことを突き詰めて、勝ち抜いてきた経験がある人はスペシャリストになりやすいのではないでしょうか。 私のマーケチームのメンバーも、趣味もしっかり突き詰めてやっている人間が多かったりするので、ある程度確かだなと思います。


正守:後者の、経営や事業の立場を目指していくには、キャリアパスとして何が必要ですか?


佐々木:そこに関しては、自分がやっている範囲に囚われないことが大切だと思います。 常に100%を超え続けると言いますか。例えばミッションが100だとしたらプラスアルファで10、20を別の領域でもやることで価値を出していけると思います。


スペシャリストが縦の深さだとしたら、マネジメント側は横の幅の広さだと思います。  どんどん自分が分かる領域を広げていくと結局全体の課題を把握しやすくなるので、マネジメント側へのキャリアにいきやすいのかと思います。

自分の持っているスキルを掛け合わせて市場価値を高める

正守:幅広いキャリアがある中で、マーケティングという職種を選ばれた理由はなぜですか?


佐々木:たまたまではあります。もともと私は学生時代メディア運営企業でインターンをしていたので、メディア運営や集客方法、全体像についてはある程度わかっていました。 その後A社でSaaSビジネス全般の勉強はさせていただき、かつ、自分がお客さまに提案していたものがマーケティングオートメーションを使ったマーケティング施策だったので「マーケティング×SaaS×メディア」というスキルが平均より高かったんです。


中々その3つを掛け合わせてできる人間は当時いなかったので、自分がいちばん高値で売れるというか、希少性高そうな所を狙って入社しました。


正守:なるほど。今までのいろんなスキルを掛け合わせて「こういうことができる。高めたい」と思って選ばれたのですね。今までのスキルを獲得する際は、どのようなスタンスでしたか?


佐々木:自分と会社を営業の視点に置き換えると、会社はお客様です。 営業であれば、お客様に価値を返す必要があるので、いかにお客様である、自分が働いている会社に対し、自分ができることで価値を返せるかについて考えていました。 自分が求められていることだけをやっていても、満足度は100が上限です。でも、それ以上のことを返すとどんどん期待値や満足度が上がると思うので、いかに求められているレベルよりも少し高い水準を達し続けられるかについて意識していました。


正守:佐々木さんご自身は自分のキャリアについてどのように考えていますか。


佐々木:スペシャリストになるかマネジメントに進むかについてあまり優劣はないという前提はありますが、私はマネジメント側だと思います。


私は根がオタクなんですけれど、飽きるサイクルが一定の期間で来てしまいます。 人よりはやりこみますが、やりこみすぎると飽きて、領域を変えてまたやりこむことを繰り返します。 また、マネジメントに上がる=昇進という表現は若干語弊があると思っていて、スペシャリストとしてある程度深さを極めていくのも、ひとつの昇進だと捉えています。


新規ポジションをつかむために、常に自分の周りの課題を探す

正守: 新規の立ち上げにおいて、誰しも立ち上げたことがないという状態からそのポジションを掴むこと──そこにいたるまでに何が必要ですか。


佐々木:経験に立ち会えるかどうかでいうと、環境的な部分とスタンス的な部分の、どちらにも大事なことがあると考えています。 まず環境的なところで言えば、風通しの良い会社選びは重要です。 ボトムアップでメンバーの意見が企画や制度に反映されている会社が望ましいですね。 トップダウンでしか組織が前に進まないところだと、そもそもハードルが高いと思います。


スタンス的なところで言えば、常に自分の周りの課題を探す、イシューを探すことが最も大切です。

直面する課題や不自由に対し、それをビジネスにするためにはどうすればいいのかと、模索し、まず採算が取れるかどうか、社内にできる体制があるのかどうか、できないなら外注しても割に合うのかどうか、そもそも自社でやるメリットがあるのか、既存事業とのシナジーがあるのかどうかなど、さまざまな観点で考えて、課題を元に企画を作り、ある程度検証した状態で経営層や役員に企画として一旦出す、みたいなことをやり続けると、いつかは当たると思います。


また前提として、社内で自分のメイン業務で実績を出して信頼されていないと、提案は聞いてもらえないことも多いので、まずは目の前のことを頑張って、頑張った中で見えてくるイシューや課題を別の事業やビジネスにできないかと常に考え、提案するようにすれば新規事業はできると思います。新規事業に興味のある方にはぜひ、そのような観点で取り組んで頑張っていただきたいですね。




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