働き方改革が施行されたことにより、会社の体制や制度が変わったなんて人も多いと思います。企業も個人も今まで以上にビジネスマンのキャリア展望に目が向けられている中、マーキャリ会員によるキャリアチェンジに伴った体験談をシリーズものとして連載していくのが本企画です。
今まさに自身の今後のビジネスライフに向けて働き方を変える動きをしている方もまだキャリアプランが漠然としている方も参考になる内容になっておりますので是非ご覧ください。
今回の記事投稿者:野口佳孝さん
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自己紹介
はじめまして、私は愛知県に在中している野口と申します。現在はフリーランスで活躍していますが、以前はオペレーターからプログラマーへとキャリアチェンジに成功。そんな私のキャリアチェンジをお話しします。
まずは簡単に私の履歴をご紹介します。私は大学を卒業後、2012年まで6年間オペレーター業務を行っていました。オペレーターとしての仕事自体に不満はなく充実していましたが、スキルの向上やキャリアアップを感じることはありませんでした。
そこで、私はプログラミングの学習を開始。プログラミング学習は独学の部分もありましたが、職業訓練校に通うことで、プログラミング学習を飛躍的に向上させ、2013年にベンチャー企業(JASDAQ上場)に転職、キャリアチェンジに成功いたしました。
プログラミングの実績はおろか、知識もなかったオペレーターの私がなぜプログラマーになれたのか?
これから詳細な体験をお話するので、キャリアチェンジを検討している方々は、ご参考になれば幸いです。
キャリアチェンジまでの流れ
2006年に大学を卒業後、新卒として東京の派遣会社に就職しました。
派遣会社は就職後、簡単な研修を行うだけで、特別なスキルを学んでいなくても現場に配属され、淡々と業務を行うのみでした。配属先によっては、多くの同期が辞めていく状況です。
私の配属先は楽ではありませんが、やりがいもあり環境も非常によい現場でした。私の配属された現場は、大学病院です。大学病院で電子カルテのオペレーターを行っていました。
業務内容は、大学病院に常駐して、電子カルテの使い方や簡単なパソコンの修理、サーバーの保守・管理を行う業務です。まだ電子カルテの普及率は高くない時代であったので、医師、看護師、職員から私のような派遣の人たちも右往左往する毎日で、大変な日々を送っていましたが、辛くはありませんでした。
充実はしていましたが、スキルアップという観点においては物足りなさを感じる業務です。電子カルテやパソコン、サーバーについて少しは詳しくなるのですが、システムエンジニアやプログラマーと呼ばれる人たちよりはるかに劣ります。
そんな時、大学病院のオペレーター業務は別会社が請け負うことになりました。他の人たちは別の現場へ派遣されましたが、私は一つのきっかけだと思い会社を退職。プログラマーへの転職を決意しました。
すでに独学でプログラミングを学習していたので、すぐに転職は可能だと考えていましたが、なかなかうまくは行きません。貯金もあり失業保険も頂いていたので、生活についての心配や不安は出てきませんでしたが、転職がうまくいかない不安はありました。
ハローワークで相談したところ、プログラミングの職業訓練校があることを知り、そこへ通うことに。正直言うと職業訓練校のカリキュラムは、すでに独学で学んでいた私には物足りない内容でした。ですが、インターンシップを設けていることが幸いで、実際の現場で働く経験は大変よい経験になりました。
インターンシップ先に転職することはできませんでしたが、前職の電子カルテのオペレーターでの実績を活かし、無事プログラマーへ転職。プログラマーになってからは、大手建設会社の社内システムの改善・修正、大手自動車メーカーのシステム保守に配属されスキルを磨き上げました。
なぜ、そうしようと思ったか?
なぜ私がプログラマーへ転職をしようと思ったのか。結論を伝えると歯がゆい思いをしていたからです。
オペレーターは、システムを使うお客様と近い位置にいる職業です。現場の生の声を聴くことが多い職業だと思ってください。「あの操作がやりづらい」、「このシステムはダメだ」などの声を直接聞く立場です。
現場の声を聴くのですが、オペレーターはあくまでお客様の話を聞き、案内するだけの立場です。お客様の使用しているシステムを直すことはできません。
それどころか改善案を頂いてもそれがシステム的に実現可能なのかも分からない立場です。現場の声を聴いても直せないという歯がゆさを感じました。
より一歩踏み込むためには、プログラミングの知識を取り入れることは必要不可欠だと感じ、それが自分の仕事になればいいなと思ったからです。
元のキャリアのスキル、もともと持っていたスキルが次のキャリアにどう活かされたか?
電子カルテの知識は、プログラマーのキャリアとして活かすことはありませんでした。ですが、オペレーターとしての経験は非常に役に立っています。
転職した会社がベンチャー企業であったので、大企業と違い多くの社員はいませんでした。大企業ではそれぞれの役割が分担されていることが多く、場合によってはプログラマーの業務はコーディングのみです。
転職した会社は、プログラマーといえどもコーディング作業だけでなく、顧客との折衝や要件定義なども行うので、人と話す機会が多くありました。そこではオペレーターで培ったクライアントの話を聴くスキルが非常に有効です。
クライアントは自分が何を望んでいるか自分自身でも分からないことが多くあります。クライアントの話をしっかり聴くというのは、その後の仕事を潤滑に進めるルート作りの一つです。
聴くことによって、プログラマーとクライアントとのずれが少なくなります。プログラミングの実務経験がない私にとって、聴くというスキルは業務をうまく進めるうえでのスキルだと感じました。
キャリアチェンジで最初大変だったこと
教科書だけの知識で実務経験がない、ということは大変でした。例えばプログラマーは、個人個人でコーディングに癖を残します。教科書通りにキレイに書く人はほとんどいません。
既存のシステムの修正や改善を行う場合、他人の書いたコードを読むことは必然です。他人のコードを読むときは、教科書通りでないコードですので、経験がモノを言います。
私は職業訓練校のインターシップで少しは経験をしていたのですが、それではとても足りません。実務経験を増やすことは難しいですが、他人のコードはインターネットが普及している現在、いろんなコードを読むことが可能です。
今後プログラミングを学習して、プログラマーになりたい人は、できるだけ他人のコードを読み、模写をすることをおすすめします。
成果をだせたこと
会社の売り上げに直接貢献した、事業を大きくしたなどの成果は出していませんが、自分の請け負っていた案件を早期に終わらせて、他チームの遅延している案件を手伝ったことはあります。
他チームの案件は、私の手助けもあったためか、遅延している案件は何とか遅れを取り戻すことができ、予定通り案件を終わらせることができました。
プログラミングの案件で遅延は珍しくありません。それを予期して工数を多く見積もる人もいれば、クライアントも遅れるのはいつものことだと思っている人もいるくらいです。
クライアントがその場で遅延は気にしてないと言っていても、遅延は会社の信頼に関わります。他チームの案件を手伝ったことは、売り上げに貢献するような成果ではないかもしれませんが、会社の信頼を守る一端を手伝ったと自負しています。
成果をだせたことの道筋
遅延していた案件は、あくまでお手伝いであったので、私に明確な道筋はありません。ですが自身の案件を早く終わらせたということは、遅延していた案件を手伝うことができた道筋だと思います。
案件を早く終わらせたコツは2つ、1つはオペレーターで培ったクライアントの話を聴くことです。よく聴くことで、ズレが少なくなります。2つ目は完璧でなくても早めに一度出すことです。
クライアントの話を聴いていても必ずズレは生じます。期限ギリギリでは、ズレの修正が大変です。不完全でも一度出すことがより完璧に近づけるための近道だと思います。
まとめ
プログラミングを学習する方法はたくさんあります。最近ではオンライン学習などもあるので、非常に多くの学習するチャンスがあるのではないでしょうか。
ですが、実務経験が乏しくては、キャリアチェンジはなかなかできません。どんな形でもよいので、学んでプログラミングで何か作ってみてください。
また学習のアドバイスとして、多くのコードを読むことをおすすめします。他人のコードは最適の学習教材です。
数多くのコードがインターネットで閲覧できる時代です。一つでも多くのコードを読んで、スキルアップを目指してください。