仕事は一人ではできません。いかにして周りの人を巻き込んでいくのかが重要になってきます。あるプロジェクトの責任者を任されることになったとき、どのようにしてプロジェクトに関わる人をマネジメントしていますか。プロジェクトのマネジメントにはステークホルダー分析というフレームワークが活用できます。
本記事ではステークホルダー分析の活用方法について紹介します。ステークホルダー分析について深く知らないという方やこれから新規プロジェクトを任されることになる担当者にはおすすめの内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
ステークホルダー分析とは
ステークホルダーとは利害関係者のことを指します。つまりステークホルダー分析とはプロジェクトに関わる人を分析してどのような戦略で進めていけばうまく進行するのか検討するフレームワークです。このフレームワークを世間に周知させたのが1980年代、アメリカの哲学者R・エドワード・フリーマンという方になります。
具体的にステークホルダーに該当する人としては、決裁者・株主・役員・社員・外注先・マスコミ・行政等様々です。直接的に関わる人から間接的に関わる人まで幅広く存在します。これらの人物のなかからプロジェクトに関わる人を想定し分析します。プロジェクトを進める上での初期段階の項目になるので丁寧にやっていきましょう。
ステークホルダー分析の作成方法
ステークホルダー分析の作成方法について紹介します。ステークホルダー分析を行う場合下記のようなテンプレートを用います。
https://media.mar-cari.jp/article/detail/732
手順を1つずつ解説します。
項目の書き出し
図のようにステークホルダー分析を行う上での項目を書き出していきます。
ステークホルダーのピックアップ
続いてステークホルダーを思いつく限りピックアップしていきます。少しでも可能性がある方はリストアップしておきましょう。またリストアップした方のなかから、どのような人が関わった方がよいかヒアリングしてもいいでしょう。幅広い視野を持つことが重要です。
重要度の選定
ピックアップしたステークホルダーに重要度を振り分けていきます。重要度とはそのプロジェクトにおける影響力の大きさです。大・中・小の3段階で分けていきましょう。
今後の対策と方針
項目もそれぞれ埋めていき、最後に今後の方針と対策の欄です。ここは各ステークホルダーに対してどのようなアプローチをしていけば、プロジェクトがうまくいくかを記載します。ここはそれぞれ違うので一番時間がかかるところです。ステークホルダー同士の人間関係も加味するとよいでしょう。 しっかり埋めていけばあとはステークホルダー分析通りの行動をして、プロジェクトを一歩ずつ前に進めていきましょう。
案件が大きくなればなるほど関係者が多くなるので、ステークホルダー分析を使い可視化しておくことが大事です。次の章ではステークホルダー分析を用いた応用編を紹介します。
ステークホルダー・マネジメント
ステークホルダー・マネジメントとはステークホルダーを管理することです。分析がよくできていたとしてもコントロールできていなければプロジェクトは円滑に進みません。いわばプロジェクトマネジメントのようなものです。 この方法はPMBOKと呼ばれるプロジェクトマネジメント知識体系ガイドで紹介されている事例になります。3つの手順で紹介します。
ステークホルダー・エンゲージメントを計画
エンゲージメントとは愛着です。つまりステークホルダーがプロジェクトに対する思い入れをどのように高めていくかを計画する段階になります。分析で列挙した今後の対策と方針で、アプローチ方法については記載しました。しかし、それを実行に移すためのタイミングも重要なため、その段取りを決めていく必要があります。
またステークホルダーが勝手な行動をしてしまった場合のリスクヘッジも事前に考えておきます。ここで多くの仮説を立てることができれば企業のプロジェクトは進みやすくなるでしょう。また計画は一定の期間ごとに振り返る必要があります。理由はプロジェクトには随時離脱と参加が繰り返し起こるからです。柔軟に対応していきましょう。
ステークホルダー・エンゲージメントを実施
これまで立てた計画に基づき実行していきます。ここで大事なのはコミュニケーションです。コミュニケーションを密に取りエンゲージメントを高めていきましょう。コミュニケーションを取る方法としては、ブレスト・ミーティング・進捗の報告・事前調査時等です。接点は複数ありますので上手に活用しましょう。 またネガティブな部分も避けずに目を向けていく方がいいです。例えば、会社内の人間関係・リソースの欠如・個々の仕事のスタイルなどそれぞれが不満を抱くところは多々あります。ネガティブな部分をおろそかにすると後々になって収拾がつかないことになるので早めにつぶしておきましょう。
ステークホルダー・エンゲージメントをチェック
ステークホルダーが機能しているか評価しましょう。プロジェクトが進むとつい仕事ができるステークホルダーに丸投げしてしまいがちになります。しかし信頼できたとしても全て任せるのは危険です。進捗の把握と評価は常にしつつ、方向が間違っていれば修正も怠らないようにプロセス管理しましょう。
全体を通してのコツ
ステークホルダー・マネジメントでつまずくポイントとしては反対派をどうするかということです。説明して考えを覆すことは至難の業です。そのためプロジェクトへの関与度を低下させることが一番の近道となります。徐々にタスクから外していきフェードアウトしてもらいましょう。
また反対派の人は賛成派の人を取り込むのも上手いです。そのため賛成派にはケアをし続けましょう。ケアで効果的なことはコミュニケーションの回数と継続性です。回数が多ければ多いほど裏切りづらくなるものです。意識してコミュニケーションをとっていきましょう。このような点に注意していけばステークホルダー・マネジメントは成功します。
まとめ
ステークホルダー分析をしたからにはマネジメントの方にもチャレンジしてみましょう。本記事ではプロジェクトに重視して話を進めましたが経営でも同じことがいえます。コミュニケーションを頻繁にとり適宜修正していけば、大きな失敗になるようなことはないでしょう。