この記事は「VRIO分析とは?4つの要素とやり方を簡潔に解説!」の後編になります。
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分析結果の読み解き方
VRIO分析で、すべての項目に対する質問に答えたらその一覧表などをもとに、戦略や施策を検討するという流れになります。それぞれの項目へは、例えば以下のような判断ができるでしょう。
価値が不足している場合
最初の質問でNOがついたなら、企業がもつ経営資源に価値がないことになるので、撤退を考えた方がよいのかといえばそうではありません。VRIO分析はあくまで、強み・弱みをつかんで経営に活かすことが目的です。価値が不足しているのは、企業が持っている潜在的な価値が発揮できていない可能性や、強みと世間のニーズがずれているのではないかといったことが考えられます。希少性が不足している場合
希少性が不足しているのなら、希少性を高める施策をとるのが当然の流れとなります。希少性が高い商品を新たに開発する、希少性に重点を置いた別ブランドを展開するといった対策がとれるでしょう。逆に低価格を売りにしている場合は、希少性を高めた高額商品を売りに出せば、客離れにつながる可能性も秘めています。模倣可能性が不足している場合
2つの質問にYESと答えたあとですので、ある程度の強みがある状態となります。しかし、模倣されやすいという特徴があるなら、優位に立てるのは真似をされるまでの一定期間となりますので、対策は必要でしょう。たとえば商品の改良時に、自社ならではのオリジナルのアレンジや、新たなノウハウを組み込むことができないか検討するといった対策などが考えられます。組織の整備が不足している場合
ここで初めてNOがついたなら、利益を十分に上げられる力があるのに、組織運営がうまくいっておらず、利益が最大化できていないことになります。ここで求められるのは経営陣や管理職側の対策です。組織の運営がスムーズになるような対策をとることで、経営資源の価値をさらに高められます。組織改革を放置していると、希少性や模倣可能性の低下につながってしまいます。VRIO分析にも欠点がないわけではありません。Value(価値)の質問の段階で行う「社会的に価値があるか」どうかという問いは評価があいまいになりやすいです。そのため評価基準を明確にする必要が生じます。VRIO分析を行うためにPEST分析などの他の分析が必要になることや、評価基準を明確にするための時間を割かれてフットワークが重くなり、企業として柔軟な対応ができなくなるといったことも可能性としてはあるでしょう。
しかしVRIO分析を行うことで対策を練ることやリスクヘッジもできる有効な手段であることは間違いありません。さまざまな準備を経て、集中的に短期間でVRIO分析を行うことが、成功のコツとなるかもしれません。