企業の販売戦略全般を担うマーケティングは、企業にとって非常に重要なものです。マーケティングについて情報分析や広告宣伝といったイメージがある方も多いでしょうが、マーケティングは商品を認知させるところから購入に至るまでの非常に広い範囲で重要になります。
この記事では、販売を行う上で知っておきたい「パーチェスファネル」という考え方について解説しています。パーチェスファネルは、マーケティングを行う上で基礎となる考え方の1つです。マーケティング初心者の方や、パーチェスファネルについて詳しく分からないといった方なら特に参考になるはず。ぜひ最後までご覧ください。
パーチェスファネルとは
パーチェスファネルのパーチェス(purchase)とは英語で「購入」、ファネル(funnel)は漏斗(ろうと)・じょうごという意味です。 漏斗はラッパのようなかたちをしたもので、細い先を瓶などの口に差し込んで上から液体を流し入れる際に使う道具です。入口が広くて、出口が狭いものだとイメージしておいてください。
パーチェスファネルは、見込み客が商品を認知する初期段階から購入に至るまでに段々と人数が絞りこまれていき、漏斗のような形になることを表しています。
パーチェスファネルは「AIDMA」の発展形
パーチェスファネルは、AIDMAと呼ばれる顧客の購買モデルをもとにした考え方です。購買モデルとは、商品を知ってから購買に至るまでの流れのことを言います。パーチェスファネルについて理解するためには、AIDMAを知ることが重要になります。簡単にAIDMAについて確認していきましょう。
AIDMAは、消費者が商品を初めて知ってから購入にいたるまでのプロセスを、「Attention(認知)」「Interest(関心)」「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」「Action(行動)」の5つの段階に分け、それぞれの頭文字をとったものです。商品を知ってから購入に至るまで5つのステップがあるとするものですが、大きく「認知段階(Attention)」「感情段階(Interest・Desire・Memory)」「行動段階(Action)」の3段階に分けられます。それではAIDMAのそれぞれの要素についてみていきます。
Attention(認知)
認知段階であるAttention。これは企業側から消費者に認知してもらうための施策を行い、消費者に知ってもらうという段階です。たとえばテレビや新聞、雑誌、さらにはインターネット広告を活用して消費者に認知させます。
Interest(関心)
消費者が認知した商品に対して興味関心を持つ段階です。ここからはAIDMAの3つの段階のうち、感情段階に入ります。
Desire(欲求)
消費者が商品を本格的に欲しいと思う段階です。「欲しい」という感情を抱いている段階なので、ここも3つの段階のうちの感情段階にあたります。
Memory(記憶)
Memoryは消費者があなたの会社や商品を記憶に残す段階です。ここも3つの段階のうち感情段階にあたります。
Action(行動)
AIDMAの最後のフェーズはAction(行動)です。ここは3つの段階のうち行動段階にあてはまります。これは消費者が購入という行動をおこすことを指します。
パーチェスファネルの考え方
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パーチェスファネルはAIDMAの5つの要素を発展させて購買モデルを「認知」、「興味・関心」、「比較・検討」、「購入」の4段階に分割して捉えます。
パーチェスファネルを使うメリット
認知から購入に至るまでを4段階に分けて捉えるパーチェスファネル。使うことでマーケティング活動におけるメリットがあります。
自社のマーケティングの弱点が分かる
パーチェスファネルは、「認知」、「興味・関心」、「比較・検討」、「購入」の4段階に分割して考えるため、マーケティング活動のどこに問題があるかが明確になります。商品を販売するECサイトで考えた際に、サイトへの訪問者が多ければ「認知」の段階では上手くいっていると考えられます。商品をみて興味関心があれば、一旦カートに入れたりお気に入り登録したりして「比較・検討」に移るものですが、その数が予想以上に少ないのなら、商品の詳細ページが魅力的でないなどの問題点がはっきりとしますよね。
そもそものサイト訪問者が少ないのなら「広告宣伝」に力を入れるべきだとなりますし、カートに入れても購入に至る数が少ないのなら、決済方法が分かりにくい・少ないなどといった問題があることが予想できます。問題がどこにあるのかがはっきりすれば、それに対して的確な施策を打つことができます。これが、パーチェスファネルを使う最大のメリットです。
パーチェスファネルの問題点
認知から購入までを1つの流れで捉えるパーチェスファネルは、非常に分かりやすい考え方ですが、使う際には注意すべき問題点もあります。
リピーターを無視している
パーチェスファネルの4つの段階うち、最後の段階は「購入」です。つまり、パーチェスファネルでは「購入後」のことは考えられないということ。一般的に購入後商品やサービスを気に入ってもらえれば、リピーターとなります。リピーターにはすでに認知されているので、再購入や新商品との比較・検討といった段階からスタートします。しかし、パーチェスファネルでは購入を最終段階と捉えるので、その後の関係性については考慮できないという問題があります。
購入に至るまでの流れが直線的でない場合がある
パーチェスファネルでは、「認知」、「興味・関心」、「比較・検討」の3つの段階を経て、最終的に購入へと至る流れを購買モデルの基本としています。しかし、購買モデルが「認知」から始まるとは限りません。たとえば自分が好きなタレントが使用している化粧品を自分も使おうとして購入する場合は、「認知」どころか「興味・関心」や「比較・検討」という段階も飛ばしていきなり「購入」に至るわけです。このように途中の段階から購買に至る、直接購買に至るといったパターンもありますが、パーチェスファネルではそれを想定していません。
使用する際には注意すべき点もあるパーチェスファネルですが、それでもこれが購買モデルの基本となる考え方であるのは今後も変わらないでしょう。何よりも自社のマーケティング活動の問題点が浮き彫りになるという点では、大いに役立つはずです。すぐに実践できることですので、まずは自社のサイトや商品に置き換えて一度考えてみてはいかがでしょうか。