たとえば、弁護士、公認会計士、建築士、行政書士などの職業は、資格がなくては仕事が成立しません。なぜなら、これらは国家資格であり、法的に整備されている中で仕事そのものが成立しているからです。それでは、マーケターに資格がマストでない理由をご説明していきます。
マーケターに資格はマストではない
資格がマストな職種や、受験が必要な公務員がいる一方で、我々マーケターは資格を取得しなくても仕事は成立します。資格がなくても独学で統計や分析などの実務を行っているマーケターは多くいますし、マーケターにとっての資格は何を意味するかというと「誰かにお墨付きを頂いた物差し」という事だと思います。
特に転職などの際に、「この人はこういうことが出来るんだな」というのを企業側が判定する材料として、仕事を行う際に、名刺に役職や経歴を刷っておけば一応「お墨付き」にはなる。ただ、逆に言うと「それ以上の価値」は無いという事になります。
実際、マーケティング実務の局面においては、「この資格があるから安心」という事はありません。そもそも、企業における「マーケティング部」に求められる仕事の内容や知識が、企業ごとに全然違いますし、営業部だけどバリバリのマーケティングを求められている人もいれば、それが情報システム部だったり、広報部、プロモーション部だったりすることも、さして珍しいことではないからです。
Webマーケターのスキルを考えてみる
別記事で書いていますが、たとえばWebマーケターひとつを取っても「Webサイトの構築~コミュニケーション設計」というページ(サイト)側を得意とする人間もいれば、Web広告と言った「外に出ていくもの」に強みを持つ人間や「リサーチャー」と呼ばれるような調査設計を行うことに強みをもつものもいます。「DMP構築」や「SNS運営」、昨今の流行だと「CRM活用」や「MA運用~ナーチャリング戦略」など、将来的に確実に「求められるスキル」の集合体が「Webマーケティング」と総称されることが増えています。
となると、もはや「このツールを使えるから安心」「この知識があるから安心」事は無く、それよりも求められるのは「基礎スキル」の記事でも取り上げた「仮説立案」の能力だったり、実行力、もっと言えば「その企業が欲しがっているニーズにマッチしているか?」の方です。
実際、私が受けたマーケター募集の面接では、「どこの部署にいましたか?」とか「どんな資格を持っていますか?」という質問をされることはなく、「あなたは、当社にどんな価値を提供してくれますか?」とか、「どんな事をして、何を成してきましたか?」というような本質論を問われることが多かったです。
しかも企業によって「マーケティングオートメーションツール(MAツール)を使って顧客育成をしたい」とか「マーケティング部のドライブに必要なすべてのことを成したい」「Web 広告をインハウスで行いたい」とかニーズがバラバラです。なので、「この資格!」というのを当てに行こうにも「汎用性が高く使えるもの」とはなっていません。
*では、結局もとめられるものとは何か?
結局、我々マーケターに求められるものは「価値創造」であって、これは、お客様に対してもそうなのですが、言い換えれば採用する企業にとっても同じなんです。
資格の有無ではなく、「何ができるか?」に立ち返る
なので、企業側は「あなたが入社することで、自社の事業がどのように成長するのか」ということを採用の基準としているのは当然のことなんです。だから、結局は質問の多くが「あなたは、何ができるんですか?」になる。これは、他の職種募集との大きな違いだと思います。そういう意味では「このアクセス解析ツールが使えます」とか「このマーケティングオートメーションツールの運用に関する資格を持っています」というのは武器の1つとなるでしょう。ですが、それは「マーケターの資格」ではなくて、あくまでも「ツールを使えるという証明」です。
ただし、結局マーケターへ転職するのであれば、「で、そのツールを使ってどういう価値を創造するの?」という方向に話が行くわけですから、やっぱり必ず資格がいるとは言い難いでしょう。2名の採用候補がいて、ほぼ僅差の時に甲乙をつける材料にはなるでしょうが、だからといって「ツールを使いこなせる=採用の決定要因」とは言えないんですね。
資格が「必須ではない」理由〜まとめ〜
話をまとめますと「行動を前提に」しながら、「資格」はあくまでもサブで考えたらいいんじゃないかな?と。私自身「持っていて損はない」とは思いますが、少なくとも「とらないといけないものだ」とまでは思う必要はないでしょう。資格取得のために講座に通ったり検定を受けたり、資格学習に時間を死ぬほどかけるくらいなら、いっそのこと「こういう仕事をしていました」とやるほうがいい。もっと言うと、ブログの1個でも立ち上げて「SEOでこれだけ1位を取って、こういうユーザーを集客して、アフィリエイトでこんなに儲かっています」と言ったほうがよっぽど、企業から見ても説得力があるからです。