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退職届も出して、引継ぎも終わって。後は退職当日に挨拶をするだけ……そう思っていても、退職するにはまだまだ必要な準備があるのです。
あなたを守ってくれる雇用保険や厚生年金を返してもらいましたか? 会社の備品などは返却しましたか? 気持ちよく退職日を迎えるためには事務的な手続きも必要不可欠です。このマニュアルをもとに事務手続きを進めましょう。
1. 会社に返却するもの
備品と聴くと何が浮かびますか? 2021年7月の時点でも、テレワークの浸透によって携帯やパソコンなどの備品を扱う人も増えています。また、備品のように見えていないものであっても立派な備品だったりもします。
例えば、健康保険の被保険者証や業務で使った資料なんて破棄すればいいやと思う方もいるかもしれませんが、本来は返却するものだということを忘れず、会社に判断を仰ぎましょう。
健康保険証は退職日まで使えますが、退職後は郵送などでしっかり返却することが求められます。その他も含めて以下に代表的なものをリストアップしますので、ご自身の職場と照らし合わせてみてくださいね。
- 携帯電話
- スマートフォン
- パソコン
- 健康保険証
- 社員証・名刺など身分を示すもの
- 制服など衣類
- 紙ベースの書類(業務で使う資料、マニュアルなど)
- その他支給されている備品(マウス、ポケットWi-Fiなど)
社会的にも情報漏洩についての規制が厳しくなっています。機密情報にあたるものや、個人情報にあたるものは徹底的に返却・破棄しましょう。書類一枚でも大丈夫と思わず処理しなければ、無用な疑いを掛けられることもあるかもしれません。お気を付けください。
2. 会社から受け取るもの
会社から受け取るものは人によって違います。例えば離職票は雇用保険の申請(いわゆる失業手当)に使うため、転職が決まっている人はもらう必要がありません。ここでは代表的な「会社から受け取るもの」をお伝えします。
(1)雇用保険被保険者証
雇用保険加入者であることの証明です。会社が手続きをすることが義務となっているため、手続き後会社が保管しているケースが多いです。転職先でも使いますので受け取りましょう。
(2)離職票
雇用保険から失業手当を申請する際に必要になります。発行に1カ月ほどかかったということもありますので、必要な場合は退職届を出すと同時に依頼するなどしましょう。
(3)退職証明書
会社が発行する退職証明書です。公的書類ではありませんが、転職時に求められる場合もありますので必要に応じて受け取りましょう。
(4)年金手帳
もし手元に年金手帳が無ければ、会社に預けてあるかもしれません。最近では写しだけ渡して手続きを行っていることも多いため、会社に預けていないケースもあると思います。厚生年金の加入証明ですので、手元での管理を徹底するのが良いでしょう。
(5)源泉徴収票
源泉徴収票は1年間の給与額と課税額がまとめられた書類です。転職時にも使いますし、確定申告が必要な時にも使います。発行に時間がかかることも多いため、早めに用意してもらうと良いでしょう。

3. 退職後の手続き
ここまで読んでくれたあなたは、会社に返却するものはきちんと返却し、受け取るものはきちんと受け取っていることでしょう。次は、もらった書類の用途と提出先についてお伝えします。
(1)健康保険
健康保険は、退職日の翌日から切れてしまいます。退職日まで使っていた健康保険証は使えなくなりますので、手続きをしない限り10割負担となってしまいます。
(2)雇用保険
いわゆる失業保険です。自主退職でももちろんもらえますが、会社都合での退職に比べると少し条件が厳しくなってしまいます。無条件にもらえるわけではなく、再就職する意思があって、就職活動をしていると認定された人に対して支払われるものですので、ハローワークでしっかりと確認しましょう。“失業”と呼ばれるように、転職先が決まっている人には関係ない手続きとなります。
(3)年金
国民年金・厚生年金と呼ばれる年金制度です。年金は日本国民であれば加入の義務がありますから、払わないという選択肢は残念ながらありません。もし払わない状態が続くと自動的に滞納扱いとなり、不利益を被ることがありますのでご注意ください。
転職する人は、転職先の会社に年金手帳を提示し、厚生年金に加入するための手続きをしてもらいましょう。転職先が決まっていない人は、市役所もしくは区役所にご相談ください。
(4)税金の支払い
会社に所属している時は、所得税と住民税が会社から自動的に支払われています。転職であれ、単純な離職であれ、会社を辞めた場合であれば必要に応じて確定申告や引継ぎを行う必要があります。
■所得税
年末調整という言葉を聞いたことがあると思います。実は所得税は年間を通して予測給与から天引きされているため、金額の確定が年末になるまで分からないのです。
そのため、年末に追加で税を支払ったり、払い過ぎた分を還付したりして調整しているのです。すぐに転職する人であれば、源泉徴収票を転職先の会社に提出しましょう。年末調整を会社がしてくれるようになります。
しかし、手続きの問題で12月に転職した人は年末調整に間に合わないことがあります。その場合は、確定申告が必要になりますのでご注意ください。
■住民税
住民税の納付に関しては、特別徴収と普通徴収という言葉を聞いたことがありませんか? 通常、会社員であれば特別徴収として毎月の給与から天引きされています。すぐに転職する人であれば、特別徴収の継続手続きを行ってもらうことができます。
しかし、転職前の会社に依頼する必要があるため、切り替えしづらいということも残念ながらあります。その場合は一度普通徴収として手続きし、改めて特別徴収への切り替えを依頼しましょう。
4. まとめ
退職といっても様々な書類や手続きが必要になります。それは全て、あなたの人生を維持・向上するために必要な手続きです。転職をされる方で、エージェントを使っている方であれば、エージェントさんに聞いてみることをお勧めします。
求人の紹介や内定までの伴走に限らず、退職時のフォローも手厚くやってくれることが多いですよ。あなたが納得して前に進もうとする際につまずくことが無いように、意識してみてくださいね。

執筆者
マーキャリ NEXT CAREER