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今回はSaaS/IT系ベンチャーのフィールドセールスへの転職における書類の書き方について、職務経歴書と履歴書それぞれのポイントを解説します。
インサイドセールス、カスタマーサクセス編は下記よりご覧ください。
1. フィールドセールスの求人要項
まずは、フィールドセールスの求人要項と業務内容をチェックしましょう。インサイドセールスと比較すると経験や実績のハードルが高い場合が多いです。
■求人要項の例
<必須要件>
無形商材の法人営業2〜5年以上(または、ソリューション営業を2〜5年以上経験)
ミッション、バリューへの共感
新規顧客への開拓営業経験
※エンタープライズの場合は5年以上が望ましい。
<歓迎スキル>
Salesforceなど、営業管理ツールを使った業務経験
IT系ツールの販売経験
〇〇サービスのセールス経験(〇〇は選考企業が人事系なら「人事」という具合に選考企業に関したツール)
<求める人物像の例>
論理的に物事を考え、主体的にPDCAを進められる方
目標達成にコミットできる方
成長意欲のある方
チームワークを大切にする方
必須要件としては、法人営業としての実績を出してきたであろう2年〜5年以上の経験が求められ、営業管理ツールの使用や業界知識などが歓迎される傾向で、インサイドセールスより即戦力が求められる傾向です。
■業務内容
・インサイドセールスが獲得した商談を実施し、商談の確度を高める
・受注までのフォローや調整
・顧客とのリレーション構築、顧客を成功へ導くための提案
・新規顧客開拓に向けた新たな戦略や手法の立案
業務内容としては、インサイドセールス部門が獲得した商談〜受注獲得をメインに、企業によっては戦略立案やパートナーとの協業など幅広い業務となることもあります。
2. 志望動機・自己PRのポイント
インサイドセールスでは、ポテンシャルを期待されての採用も多いですが、フィールドセールスの場合は即戦力の採用が多いため選考もシビアです。ここでは、書類選考だけではなく、面接も想定して合否の境目となるポイントをお伝えしますので、ぜひ取り入れてみてください。
無形商材の法人営業3年以上である程度の実績を持つ方で、SaaS/IT系企業への転職が初めての場合を想定しています。
(1)志望動機・自己PR=セールス組織で力を発揮できる理由
どの企業においても、選考で判断するポイントの一つが「成果を出せるかどうか」という観点ですので、営業成果を記載する際に目標数値と真剣に向き合ってきた経験を盛り込みましょう。ただ、ここで気を付けなければならないのは「転職先でも再現性がある」と思ってもらわないといけない点です。
「再現性」
再現性を証明するためには、似たような条件(業界、プロクダト、企業規模、組織形態、営業スタイル、予算などが同じ)で成果を出してきたと言えれば一番ですが、一致することはあまりないでしょう。
そこで「再現性」を証明するための一つの手としては、課題発見能力と課題解決力がある人だと思ってもらうことが有効です。選考では、どのように課題を発見しどう考えて最適解だと思う対策を進めたのかをアピールできれば好印象でしょう。
(2)メタ認知力と論理的思考力が評価される
メタ認知力とは「自分自身やその場の状況を客観的に捉えることができる力」で、セールスパーソンとして評価されるポイントです。メタ認知力があれば、自分の強みや弱みを言語化できます。論理的思考力があれば自身の「経験・プロセス・成果」をそれぞれ分解し、どのような要因で成果を出せたのかを言語化できるはずです。逆に言うと、自分の強みや弱みが言えなかったり、経験や成果の書き方や言い方が浅いと、能力が足りていないと思われてしまうと言えます。
また、メタ認知力がないと判断されれば、何かトラブルがあった際にも、主観でしか捉えられない人だと思われてしまいますし、他責思考の人という印象がつく可能性もでてきてしまいます。
(3)キャリアの一貫性や関連性を意識する
「転職に軸があるか」「キャリアに一貫性はあるか」を選考では見られるため、転職軸のブレやキャリアビジョンと転職理由との整合性に気をつける必要があります。
また、志望企業と今までの経歴との間に一貫性や関連性があれば、採用において有利になります。なぜなら上記の求人要項にあるように「〇〇サービスのセールス経験者」と歓迎する傾向にあるためです。また、サービスが違くとも顧客層(企業規模や業界、ターゲット部門)との親和性があれば、それも評価されますのでしっかりとアピールしましょう。
■志望動機例
現職では人事労務向けITサービスの営業職に3年従事し、業務効率化の解決策として自社サービスを提案してまいりました。 その中で、単にサービスを販売することをゴールにするのではなく、お客様のニーズや課題に則した提案を行い、お客様が求める期待値を超えることを心がけてきました。
その結果、営業部門の中で継続的に売上1位の成果を出すことができました。以上の経験から人事労務向けサービスの営業としては自信があります。今後はさらに活躍できる場を求め、貴社へ応募いたしました。業界経験とソリューション営業の経験を活かし貴社へ貢献してまいります。
■自己PR例
私の強みは仮説を持って戦略的に営業を行えることです。直近では過去のデータをもとに新規アプローチ数を闇雲に増やすのではなく、リピート率の高い顧客や他部門を紹介いただけそうな顧客と関係構築することを優先しました。売上目標が過去最高というプレッシャーがかかる中、202x年に部門1位の成績を半年間継続することができました。
【営業実績】
2018年度:4,100万円(達成率90%)
2019年度:5,540万円(達成率112%)
2020年度:6,960万円(達成率104%)
3. 職務経歴書のポイント
職務経歴書では、上記でお伝えした3つのポイントを踏まえて、以下を参考にしてみてください。
下記は「インサイドセールス|履歴書・職務経歴書の書き方とポイント」の記事より引用しており、職種に限定することなく汎用的に活用できる内容です。1.業務内容よりも「何ができるか」「何をしてきたか」にフォーカスする
業務内容の記載だけでは、あなたが発揮できるバリューは伝わりません。「何ができるか」「何をしてきたか」を簡潔に残しましょう。
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2.肩書よりも「客観的に評価できる指標」にフォーカスする
達成率や売上高だけの実績では、どれだけの貢献をしてきたかを可視化することができません。あなたが残してきた実績、成果が客観的に評価ができるように情報を整理して記載するようにしましょう。
3.あなたのブランド(希少性)を明確にする
職務経歴は商品の中で行って見れば機能の説明。それだけではあなたが持つ独自の希少性やバリューを正しく説明することはできません。商品と同じくあなたの希少性を整理した上で、簡潔に自己のバリューをまとめるようにしましょう。
下記では、さらに詳しく職務経歴書を解説した資料と、履歴書・職務経歴書をダウンロードできます。ぜひ、参考にしてみてください。
おわりに
今回は、フィールドセールス職の履歴書・職務経歴書の書き方とポイントについて解説しました。 SaaS/IT系ベンチャーに特化した転職エージェント「マーキャリ NEXT CAREER」では履歴書・職務経歴書の添削も行っています。転職活動でお悩みの方は、ぜひ、一度ご相談ください。

執筆者 (MMSKawamura)
河村 芳行
株式会社エムエム総研
2008年に法人マーケティングのパイオニア企業である株式会社エムエム総研に入社。インサイドセールスからデジタル領域まで多岐にわたり、マーケティング活動全般のプランニングを担当。外資系、国内大手IT企業に対して多くのプランニング実績を積む一方、ITproマーケティングなどセミナーにて登壇者としても講演。さらに2017年にはビジネス書籍『少人数チームからはじめる失敗しないBtoBマーケティングの組織としくみ』を同社経営陣と共に出版。BtoBの組織作りと仕組みを解説した同書は多くのマーケターに支持されている。