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米田 光雄 株式会社エムエム総研 取締役/ デジタルセールス・アカデミー未経験者コース 責任者
インサイドセールス職からキャリアをスタートしたのちプランナー職やコンサルタント職として国産大手企業、ITベンチャー企業を中心に数多くの企業の支援に携わる。2011年の入社から3年でマネージャー、5年で執行役員に就任。2017年からはBtoBマーケティングアカデミー及び企業のセールス・デジタルシフトを支援する事業の担当役員を兼任。延べ170名以上の未経験人材育成や、企業の法人営業変革に今も第一線で携わる。
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営業のデジタルシフトが進むと同時に、求人も増加しているデジタルセールス職(マーキャリではインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの3職種と定義)。中でもインサイドセールス職は未経験からでも相対的にキャリアチェンジしやすい職種としてデジタルセールスの登竜門とも言われています。
今回は、BtoBマーケティングアカデミーを2017年より運営し、現在までに170名超のインサイドセールスを育成・輩出してきた実績を持つエムエム総研の取締役である米田さんにお話を伺ってきました。
米田さんは、エムエム デジタルセールス・アカデミーを立ち上げた張本人でもあり、未経験者コースの責任者兼講師でもあります。新アカデミー開講経緯や、なぜ、いまインサイドセールスにチャレンジすべきなのかをお聞きすることができました。接客・販売職の方必見の内容となっていますので、ぜひ、ご覧ください。
無償でアカデミーを開放した理由
──まず、エムエム デジタルセールス・アカデミー開講の経緯について教えてください。まずは2017年に、本取り組みの前身となるBtoBマーケティングアカデミーを開校しました。これは、未経験でも可能性を秘めた人材をエムエム総研が積極的に正社員採用し、研修機会と就業機会を提供することでキャリア形成を支援すると同時に、不足するデジタルセールス人材という企業側の課題解決に貢献することを目的とした取り組みでした。
もちろん最初は簡単にはいきませんでしたが、約3年半で170名以上の育成、輩出を行ってきた中で、元アパレル店員から転職し、その後大手企業でインサイドセールス職のマネジメント職に就くメンバーや、全く未経験からチャレンジしわずか約1年で有名なSaaSベンチャー企業でカスタマーサクセス職に就くなど、実際にキャリア形成に成功するメンバーが増えてくるなど、確かな手ごたえを感じていました。
──みなさん、確かなキャリアを進められているのですね。
はい、そのような中、2020年のコロナ禍によって、世の中には職業危機ともいうべき状況に直面する方々が発生しました。例えば接客・飲食、販売、対面営業職など、これまでに顧客や消費者と文字通り密接に関わる職業に従事していて、その職種を離れることになってしまった方々や、あるいは今後の先行きが極めて不透明な状況に陥ってしまった方々が、BtoBマーケティングアカデミーの応募者の中でも増えてきていました。
同時に、これまでの実績として、飲食やレジャー・宿泊、ブライダルなどの個人接客職、アパレルや家電量販店、携帯ショップといった販売職の方々がアカデミーに入ってきて、その後活躍を遂げていくケースも増えてきていたため、「当社の枠組みを使ってより多くの求職者への貢献ができるのではないか」と考えはじめたのが2020年末頃のことでした。
当社試算では日本には200万人以上の若手接客・販売職従事者が存在しています。 この方たちの中で新たなキャリアを切り開きたい方を支援することがデジタルセールス・アカデミー立ち上げの目的となります。 加えて、新しいキャリアを積もうと思って勉強しようとしても、働く時間を短くしなければならなかったり、中にはコロナ禍で休業や離職になってしまっている方もいるでしょう。また、研修に必要となるパソコンやネットワーク環境といったものが現在充分でない方もいらっしゃいます。そのように可能性のある人材がお金や時間の問題で学べないのを解消するために学習支援金という制度も合わせて用意しました。

エムエム デジタルセールス・アカデミーの学習支援金制度
出典:エムエム デジタルセールス・アカデミーWebサイト
──コロナの影響を受けている方が増えているのは感じますか?
はい。間接的な影響を受けている方まで含めると報道されているよりもずっと多いのではと感じています。事実、当社BtoBマーケティングアカデミーへの応募者数もコロナ前の5倍から8倍、10名の採用枠に対して最大800名の応募数にまで増えており、その中にはコロナ禍の影響を受けている方も多くいらっしゃいます。例えば、アパレル販売や訪問営業、物流で仕事をしている方たちが休業になったり、会社全体で人員縮小が始まっていたりといったケースです。
──デジタルセールス・アカデミーはどのような職種の方からの応募が多いのでしょうか?
家電量販店や小売業での接客・販売職の方が最も多いです。携帯ショップや家具店、アパレルでの販売など、対人接客や対面営業職の方が増えています。他にも、営業アシスタントや事務職といった方も多くなっています。
未経験者にとってのデジタルセールス職の魅力
──デジタルセールス職の魅力について教えてください。未経験者にとっての魅力は、大きく2つです。未経験からキャリア形成を図りやすい職種という点と、デジタルセールスが将来的にますます必要とされる点です。
求人数が急増しているのに対して、日本は昔からデジタルセールスをやってきた国ではないため経験者人材が不足しています。また、今後も労働人口の縮小や働き方改革に伴う営業生産性向上といったテーマや、デジタル化が進む顧客の購買行動への対応、SaaS系企業の増加といった背景から、デジタルセールスを必要とする企業は更に増えます。
そのような中で、企業は必然的に未経験者人材の活用にまで選択肢を広げることになるのは明らかですし、既に採用要件を変えて、過去の経験では無くポテンシャルや素養で判断する企業も増え始めています。
未経験者が価値を高めるには、このように経験者が豊富に存在しない領域でかつ今後も需要が高まる職種にチャレンジすることがポイントですね。

出典:エムエム デジタルセールス・アカデミーWebサイト
──なるほど、まだブルーオーシャンだと。
そうです。デジタルセールスへの取り組みや人材の雇用は、今だけの短期的なニーズではなく、今後も高まり続けます。コロナで急に必要とされて、コロナが終わったらなくなる職種ではないのです。
未経験からスタートがしやすいインサイドセールス
──各職種における業務の魅力について教えてください。まず前提からお話しすると応募者や受講生には「未経験から始める人はデジタルセールスの中でもインサイドセールスからスタートしましょう」と伝えています。
なぜインサイドセールスから始めるべきかと言うと、フィールドセールスやカスタマーサクセスに比べると相対的に失敗が許容されやすく、活動量を増やし易い、つまり経験回数を増やし易い職種職種だからです。
──相対的に失敗が許容されやすいとは?
まず誤解の無いようにお伝えしておくと、インサイドセールスもお客様とコミュニケーションを取る仕事ですので、適当にやって良いというわけでも、雑なことをやって良いというわけでもありません。また、インサイドセールス職も決して簡単な仕事では無く、高度な専門性が求められる仕事です。
そのうえで、他のデジタルセールス職であるオンラインセールスやカスタマーサクセスとの決定的な違いは、対応する顧客の母数とシチュエーションです。 オンラインセールスは商談案件、つまり受注になるかならないかを左右するシチュエーションを担当し、カスタマーサクセスはやっと契約して頂けたお客様とのその後のお取引を左右するシチュエーションを担当します。
これに対して、インサイドセールスは未取引のお客様とコミュニケーションを取ることになりますが、この三つの中で一般的に最も数が多いのは未取引のお客様です。 よって、希少な商談案件、重要な既存顧客を任せることと比較して、経験の浅い人材であっても相対的に任せやすいのがインサイドセールスになるというわけです。

一気に選択肢が広がるインサイドセールスのキャリア
あとはもう1つ、必要な専門技術スキルが限定的だという点。これもあくまで相対的なものですが、カスタマーサクセスと比較した時に分かりやすいのですが、
例えば、カスタマーサクセスの場合
- イベント運営
- コミュニティ運営
- ソリューション提案
- サポートサイト運営
など、幅広い知見や技術スキルが必要になってきます。それに対してインサイドセールスは、電話、メール、コンテンツ、CRM操作など、比較的限定的な専門性を身に付ければまずは従事できるといった特徴があります。
同時に、他の2職種やマーケティング職にキャリアチェンジするうえで必要不可欠な経験を積むこともできます。具体的には、セールス、マーケティングプロセス全般の理解、マーケットや顧客の理解、データを基に思考したり改善するスキル、SFAやCRMの操作スキル、非対面・遠隔でのコミュニケーションスキルといったものです。
これらは、フィールドセールス 、カスタマーサクセス、マーケティングなど、どの職種に携わっても共通で必要となるものが多いです。インサイドセールスを高いレベルでこなせたら下図のように、次のキャリアが歩みやすいと思います。

出典:エムエム デジタルセールス・アカデミーWebサイト
奥が深く、長く続けられるのがインサイドセールス
──インサイドセールスが登竜門と言われることもありますが、実際そうなのでしょうか。登竜門として捉えるのもよいですが、そうではない選択肢があることも伝えたいです。 そもそも、インサイドセールス職自体、簡単に極められる仕事ではありません。
より精度の高いヒアリングや質の高い商談供給ができるようなったり、扱える商材が増えたり、ターゲット属性として得意な業種が増える、対話やメールだけでなくコンテンツ作成やツール・テクノロジー活用を成果につなげていくなど、インサイドセールス職自体幅や奥行きのある仕事です。 また、そもそも非対面で行う仕事ですので在宅でもできますし、多様なライフイベントが訪れる中でも続けやすい職種と言えますね。
全てリモート、オンラインで実施されるカリキュラム
──実際の未経験者コースの概要について教えてください期間は1.5カ月ほどで、平日か土曜日、どちらかを主体にして受講できます。講義はeラーニングとライブ、外部講師からのライブセミナーを通じて学んでいきます。 eラーニングは、オンラインプラットフォームの動画で学べて、確認テストまでオンラインで受けられます。ライブ講義では、オンラインミーティング形式でアウトプットに対してディスカッションやフィードバックを行います。

エムエム デジタルセールス・アカデミーの学習方式
出典:エムエム デジタルセールス・アカデミーWebサイト
カリキュラムを通じてデジタルセールスやBtoBマーケティングのプラス、マイナスの面を理解してもらい、知識を付けた状態でキャリア選択ができる状態ができるようになっているのがゴールです。未経験者コースの場合は、希望キャリア選択が最後にあって「講義で学んで自分の今後のキャリアに生かす」で終わるか「エムエム総研に入社して本格的にキャリアを積んでいきたい」か、どちらかを選んでもらっています。
人材輩出の実績があるからこそのリアルな講座
──講座の魅力について教えてください。エムエム総研はBtoBマーケティングの支援会社ですので、デジタルセールスのカリキュラムでありながらもBtoBマーケティングについて基礎の基礎から学ぶことができるのは大きなポイントだと思います。また、例えば「BtoBとは何か」「法人購買プロセス」など、本当に基礎の基礎から学べます。 エムエム総研が実際にデジタルセールス人材を育成、輩出し続けているからこそのリアルが教えられます。つまり、やりがいや楽しさだけでなく、大変なところや頑張らないといけないポイントなど、そういったところまできちんとした実例をベースに伝えることができます。
あとは現時点では私自身が担当講師をしていまして、一貫して直接、受講者と関わる点も特徴と言えるかもですね(笑) 専任ですので細切れにならずに全てのカリキュラムでつながりを持って話すことができます。いわゆる小学校での担任みたいなイメージです。
──教えている最中に意識しているポイントがあれば、教えてください。
ライブ講義では、今の理解度がどのような状態かを全員で確認しながら、その理解度に合わせて追加のインプットをしたり投げかけを行ったりを細かくやっていますね。
アカデミー受講はゴールではなくスタート
──受講を考える方には、どういった意識で取り組んでほしいですか?まず受講した内容をどう生かすのかはそれぞれの選択肢があっていいです。転職するかしないかは本人の判断でいいですし、エムエム総研に入る、入らないもそうです。もちろん最終的にデジタルセールス職へのチャレンジは見送ろうという結論があっても良いです。
ただし、無料であったり学習支援金が出るとはいえ、受講者も大事な時間を割くことになるわけなので私たちも一切妥協せずに講義をおこないますし、受講生の皆さんも「講義で学んだことや、得た気づきを自分のキャリア、人生に生かす」その意識だけは強く持って講義には真剣に臨んでほしいというのが一番の思いですね。まあ、ここまでの受講生を見ているとそんな心配をするまでも無く、本当に皆さん真剣に、当初想定していた以上の熱量で望んでくれていますね。
──未経験者コース卒業後の進路について教えてください。
学んだ結果、エムエム総研に入社してデジタルセールス職のプロを目指したい方は、最終の役員面接から受けることができます。実際にエムエム デジタルセールス・アカデミー経由で既に2名が入社しています。また、今後ますます求人が増える中で、弊社以外の企業への転職という道も、もちろん可能性は広がってくると思います。当社を介さずに自由に転職活動をするというのも一つの選択肢ですしそこも何ら制限していません。
──最後に、受講希望者へのメッセージをお願いします。
まずは学んでみてキャリアの選択肢を広げたいという方、将来性のある職種で価値を高めるためにデジタルセールス職にチャレンジしたいという方どちらも歓迎です。また、講師をしていると私自身学ばされることや気づかされることが多く、受講生にはいつも感謝しています。一緒に充実した時間を過ごして、お互いに成長につなげていきましょう。
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執筆者
マーキャリ 編集部