SaaS企業が重視するビジネス指標【16選】

SaaS企業が重視するビジネス指標【16選】

目次

売り切り型ビジネスから継続課金型のビジネスへの移行が多く見られる近年、SaaS企業にも注目が集まっています。

従来のビジネスモデルとは大きく異なる点が多いSaaS企業においては、独自の視点のビジネス指標が設けられていることが少なくありません。

この記事ではSaaSで用いられている主流のビジネス指標について解説しています。

1. SaaSとは

SaaSは「Software as a Service」の頭文字をとったもので、「サース」や「サーズ」と読みます。直訳すれば「サービスとしてのソフトウェア」となり、クラウドで提供されるソフトウェアのことを指します。

クラウドとは、「クラウドコンピューティング」のことで、従来のようにパソコン上のアプリやデータではなく、インターネット経由でアプリケーションを使うことを指します。安価で導入でき、常に最新版を利用できる。データファイルの共有がしやすいなどのメリットがあります

1-1. SaaSが注目される理由

SaaSが注目されるのは、買い切り型のビジネスよりも継続課金型のビジネスにメリットを感じている企業と、実際にビジネスモデルを継続課金型に転換している企業が多いからです。

有名なもので言えば「Word」や「Excel」といったofficeソフトと、「Illustrator」や「Photoshop」といったデザインソフトです。「Photoshop」や「Illustrator」は現在では完全にSaaSに移行し、月額課金型・従量課金型のサブスクリプションビジネスへと転換しています。

2. SaaS企業のビジネス指標


SaaSの分野は以前と比べてどんどんと業界規模が大きくなっています。成長を続けるためには目標設定は非常に重要になります。

2-1. なぜ独自の指標が必要か

SaaSの業界が大きな成長を遂げていることは、SaaSが現状のままで安泰であることを意味するわけではありません。むしろ他のビジネスよりもさらに成長が求められていると言えます。

その理由は成長の速い分野ほど市場が飽和するまでのスピードも速くなるからです。また成長過程の業界には新規参入も多いです。そのため、たとえ現在好調な企業であっても自社の成長を促進するためにしっかりとした評価体制が必要になります。そこで求められるのが他のビジネスでは一般的でない、SaaSならではのビジネス指標なのです。

ここからはSaaS企業が設定すべき指標を、「成長性」「顧客維持性」「効率性」の3つの分野に分けて紹介します。

3. 成長性を測る指標

SaaSビジネスがどの程度成長しているかといったSaaSビジネスの成長性を測定するための指標です。

(1)MRR(Monthly Recurring Revenue)

MRRとは毎月固定して得られる収益のこと。月間経常収益と訳されます。顧客から得られる収入の合計がMRRです。単純にビジネスの成長性を把握するのに適した指標です。当月のMRRだけ見ても成長性は分からないので一定期間のデータの蓄積が不可欠です。

(2)ARR(Annual Recurring Revenue)

毎年繰り返し得られる収益のことで、年間経常収益と訳されます。毎年とは、年に1度という意味ではなく、1年間という意味です。つまりMRRを12倍することで算出されます。

(3)CMRR(Committed MRR)

Committedとはいわゆるコミットのこと。「確約された」という意味です。年間契約を結んでいるもののような確約の収益のことを表します。過去のデータの分析ではなく、未来へ向けての売上把握のために重要な指標となります。


(4)ARPA(Average Revenue Per Account)

ARPAは1アカウントあたりの平均収益のこと。つまり1社や1人あたりで平均するとどれくらいの収益かを示すものです。特定のアカウントに収益を依存するのはリスクがありますので、いわば平均単価を高めるための行動が重要になります。ARPAを徐々に上昇させていくのが理想です。

(5)ASP(Average Sales Price)

1人あたりの新規顧客から平均どれくらいの収益を得られているかを表す指標です。ASPがARPAより低ければARPAは下がります。

4. 顧客維持性を測る指標

継続課金型のビジネスが主流であるSaaS企業においては、何よりも重要なのは既存顧客の満足度を高め、解約を避けることです。新規顧客の獲得も重要ですが、基本の戦略としては既存顧客の維持となります。そのため顧客維持性を測る指標はSaaS企業において特に重要になります。

(6)Customer Churn Rate(顧客解約率)

解約した顧客の割合を表す指標です。顧客数をベースにした解約率で、一定期間内にどれだけの契約を失ったかの指標になります。当然低い方が望ましい状態です。SaaSビジネスはほとんどの場合継続課金型の収益モデルなので、顧客の解約率は、今回紹介するどの指標よりも重要なものだといっても過言ではありません。

単純に数値として算出するだけでは、改善案が見出しにくいので、顧客が契約更新を見送った理由のヒントも同時に収集することが重要になります。顧客が解約する理由は多岐にわたるので、一部門での分析ではなく営業・マーケティング・カスタマーサクセス・カスタマーサポートといった複数部門での話し合いを行うことが望ましいです。

(7)Revenue Churn Rate(収益解約率)

こちらは顧客数や解約数ではなく、収益をベースにした解約の割合を表します。経営分析を行う上では、人数だけでなく収益の面からも考える必要があるのでCustomer Churn RateとRevenue Churn Rateは併用される指標です。

(8)NRR(Net Revenue Retention)

これは既存顧客からの収益が一定期間内にどの程度増減したかを表す指標です。売上継続率と訳されます。

(9)CRR(Customer Retention Rate)

一定期間内に顧客をどの程度維持できているかを表す指標です。顧客維持率と訳されます。

(10)AU(Active User)

契約段階で止まっているのではなく、きちんと実際にサービスを利用している顧客の人数を表す指標です。

(11)平均継続期間

平均継続期間とは、顧客1人あたりの契約の継続期間の平均値を表す指標です。これが短ければサービスに魅力がない、金額が高いといった分析の材料になります。

(12)NPS(顧客推奨度)

顧客が利用しているサービスを他者におすすめしたいと感じているかどうかを表す指標です。

NPSは、顧客がサービスに対して信頼してもらえているかを見極めたり、口コミによる収益の増大を期待できるかを測ったりするうえで役立ちます。これは既存顧客にアンケートを行うことで算出します。

(13)NRS(Net Repeater Score)

NRSは顧客継続度という指標です。顧客が現在利用中のサービスについて、継続したいと考えているか否かを表します。こちらもNPSと同様に顧客にアンケートを取ることで測定します。一般にNPSよりも正確で信頼できるデータになるとされています。

アンケートの仕方は、顧客に1年後もサービスを継続して利用したいと思うかどうかを5段階評価してもらい高評価の割合と低評価の割合を比較する方法などがあります。

(14)RFV

RFVは、Recency(直近の利用状況)・Frequency(利用頻度)・Volume(利用量)の、3つの指標の総称です。たとえサービスに契約していても使用頻度が低かったりそもそも使用していなかったりすれば価値を感じてもらえていないことになりますので、重要な指標の1つです。

5. 効率性を測る指標

SaaSビジネスにおける効率性とは、顧客獲得のためにかけたコストが、どれほどの収益につながったかを意味します。いくら顧客数が増えようと、結果として赤字では意味がありませんので、効率性を測定することには大きな意義があります。

(15)LTV(Life Time Value)

顧客が生涯によって生み出してくれる価値の総計を指し、日本では「顧客生涯価値」と訳さます。言うなれば顧客がサービスや製品に使う金額の総額です。指標としてLTVを語る際には1人の顧客のLTVではなく、顧客全員のLTVについて総合的に分析する必要があります。

そのため、指標としてのLTVは「1人の顧客が契約期間中に企業にもたらす収益の平均値」を指します。LTVの算出方法として代表的なものは、1アカウントあたりの平均収益であるARPAに、平均継続期間を掛けるものです。LTVは顧客が企業にもたらす価値のことですから、LTVを算出することで「1人の顧客に対してどれくらいコストをかけられるか」を考察する上で役立ちます。

(16)CVR(Conversion Rate)

CVRはコンバージョン率と呼ばれるもので、お金の発生しない体験中の人や無料プランを契約中の人といった見込み客から有料サービスの新規顧客になった人の割合を占める指標です。

まとめ

SaaS企業で求められるビジネス指標は実にさまざまなものがあります。とはいえ、それらすべてを必ずしも使いこなさなければいけないわけではありません。データはあまりに多すぎるとかえって本質を見失うものです。

自社にとってどの指標が必要で、どの指標を向上させる優先度が高いのか、その議論なしに指標を取り入れても単なるデータで終わってしまいますので、前提や要件をしっかり見極めて管理していくことが大事です。



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