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竹山陽子 株式会社エムエム総研
20年近く務めた広告代理店からインサイドセールス職へ転職。
それまでは「マーケティングの専門家」と呼べるほどのスキルがなく、改めて自信を持って「これが私の専門です」と言えるようなキャリアを作るための転職だった。前職での幅広い経験で身につけることができた知識や複数のスキルを活かし、マーケティングと顧客をつなぐ「ハブ」のようなポジションへ就く。丁寧なコミュニケーション能力と度胸を活かし、現在は3人のチームで、メールやコール、Web商談、さらにリードの振り分けまで幅広い業務を担当している。
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広告代理店の広告営業からインサイドセールスへキャリアチェンジを果たした竹山さん。前職ではさまざまな業務をこなしましたが、何かの専門家ではなく広範囲に渡る業務に携わっていました。
「専門家です」と胸を張って言えるキャリアを目指し、転職した先で携わったのはインサイドセールス分野。1日に何十件ものコールをかける竹山さんに、現職との出会いややりがい、転職の苦労についてお伺いしました。
インサイドセールスとしてマーケティングと営業のハブとなる
──現在、竹山さんが所属されている組織の事業内容について教えてください。インサイドセールスチームで仕事をしていますが、一般的に言うインサイドチームというよりは、いわゆる中小規模企業の既存営業プラス、インサイドセールスとしてのいわゆるBDR(新規開拓型)やSDR(反響型)などの要素を併せ持つチームの中で、私はSDRとBDRとを両方分業しながらやっています。
──SDRとBDRだと、どちらのほうが比率としては多いのでしょうか。
SDRのほうが多いですね。ただインサイドセールスとしてコールだけするのではなく、実質的にマーケティング部門と営業部門とのハブとして、マーケティングから来たイベントリードを各営業担当に割り振ったり、Salesforceにデータ登録したりするなどの業務も担当しています。特に最近はウェビナーやオンライン展示会の出展が増えているので、そのような業務が結構比率を占めていたりします。
──アプローチ方法を教えてください。
コールとメールですね。その他にデータ整理の案件もあったり、お客様とのWeb商談が入っていたりすると、コールする余裕がない場合もあります。日によって「今日はデータ整理中心の日だな」「今日はコールを集中してやるっていう日だな」というように、自分の中で整理しながらやっています。
お客様の反応がダイレクトにわかるのがインサイドセールス
──組織のKPIや評価制度について教えてください。まずチームに関してですが、私を含めて3人で、私がインサイドセールスの活動を担い、もう2人は既存営業のフォローが中心です。私以外の2人は目標数字としてのKPIを持っていますが、私に関してはKPIが振られていません。とはいえ、自分の中では月に何件、クォーターで何件エスカレーションを出すかなどの目標設定はあります。
それをベースにしながら、コールする日は「1時間当たりのコール数は最低でもこれだけキープするぞ」などの目標を決めています。
──1リードあたりにかける時間はどれくらいでしょうか。
私の場合だと、1時間でのコール処理件数が大体5件から6件です。事前に営業先の会社についてWebで調査してからコールをかけ、その後コールコメントなどを記録するところまでで、大体10分前後かかります。
──1日に何時間も定期的にコールするのは大変な部分もあると思います。そのような活動の中で、インサイドセールス業務の魅力ややりがいについて教えてください。
お客様からの反応がダイレクトに来るので、タイミングよくお客様からの反応を引き出せたり、「絶対無理なリストだな」と思いながらコールしても、その中でエスカレーションにつながったりした瞬間はやりがいがあります。
あとは、エスカレーションした後で実際に案件化し受注までたどり着けた旨の報告をいただくと、やっぱり嬉しいですね。
──その一方で、大変なことや苦労していることはありますか?
基本的にインサイドセールス的な仕事をしているのが私一人なので、数百件にのぼるリードが入った時に、「一人で営業かけるのか……」と思うことがあります。
また「正直、反応良くないだろうな……どうしようかな」と思いながらかけ続けることも、少ししんどいところはありますね。ただ、リストの反応が悪いときは、マネージャーや技術チームに相談する場合もあります。やはり在宅勤務全盛の時期にホワイトリストにコールをしてもなかなか受付さえ突破できないんですよね。2時間ぐらいやって「もうこれは無理だな」と確信したタイミングで相談して、アクションを見直しました。
──仕事を進める上で大切にしていることを教えてください。
できるだけ丁寧にコミュニケーションを取ることです。丁寧に対応してもらって嫌がる人って、滅多にいないと思います。営業電話でも、丁寧な電話だとまだ許してもらえる、と言いますか。2回目、3回目とかけた時に煙たがられてしまわないように、できるだけこちらからは丁寧な姿勢でコミュニケーションを取ることを心がけています。
広告代理店の広告営業からインサイドセールスへ
──次に竹山さんのキャリアについてお伺いします。竹山さんのこれまでの転職経験や社会人歴について教えていただけますでしょうか。社会人歴がこれで20年目に入ります。最初のキャリアが、広告代理店の広告営業です。
学校専門の広告代理店という、少し特殊な業界というか、すごくニッチな業界で、大学の情報のみを集めたWebサイトや、高校の教室などに置いてある分厚いパンフレットの制作をしていました。
営業として5年務めた後、営業部門からマーケティングデータで営業支援するような部門に1年ほど在籍し、その後サービス部門に行きました。
そこの部門では、いわゆるBPOというビジネスプロセスアウトソーシングのサービス部門で、学校が学生を集めるためのCRMシステムを開発したり、それの運用やデータ整備などのお手伝いをしたり、などの業務を7、8年間やっていました。
その時にCRMやマーケティングを少しかじり、データ分析もやり、ある意味プリセールス的なこともやり、営業やマーケティングに関わる様々なことを細切れでやっていた感じですね。
──営業としてはどのような業務を行っていたのでしょうか。
既存顧客の担当でした。今で言うアップセルやクロスセルなどの形で売り込んでいくタイプの営業活動ですね。どんなに小さな企画でも数十万円から百万円くらいはしますし、大きな企画だと億単位で提案することももちろんあったので、比較的高単価だったと思います。
──過去の経験の中から、なぜ現在の職種を希望されたのでしょうか。
過去の会社を離れた理由が、子会社だったため経営陣が頻繁に変わることが多く、それと同時に社風も変わっていったんですよね。社風が変化していく中で「なんか違うな」と思うことが多々ありました。当時はもちろん今よりも若かったので、怖いもの知らずで「出てもどうにでもなるだろう」みたいな感じで飛び出しました。
また、経歴がニッチなのでジェネリックスキルは身についているのですが「マーケティングの専門家です」というわけでもありません。改めてちゃんと専門スキルを身に付けて「これが私の専門です」と言い切れるようなキャリアをつくり直したいと思ったのがエムエム総研と出会い、お世話になるきっかけでした。
「専門家」と言えるスキルを求めて
──転職活動の際に重視したポイントがあれば教えてください。私の場合、自分自身の専門性のなさは自覚できていたので、専門性が身に付けられる業務・職種をできるだけ見たいと思っていました。また社風の相性の一致・不一致は確実にあることを経験もしたので、そこはできるだけ探るようしていました。
前職は裁量権がないわりに業務内容がふわふわしていて「結局、私は何を求められているのだ?」という疑問に陥ってしまったこともあります。
幅広い経験がインサイドセールスに活かされている
──さまざまな業務経験がある中で、今の仕事に活かせている経験やスキルはありますか。特定するのは難しいですが、経験全部が今のキャリアで活かされていると思います。コミュニケーションの部分で言えば、職種やキャラクターによってコミュニケーション方法を変えたり、お客様へのアクションの取り方を考えたりすることなどももちろんです。
その他、少ない人的リソースの中でどれだけ効率的に業務を回せるかや、どこの部分をシステムで自動化して、どこの部分は手作業でやるかなどの組み立てスキルも、サービス設計を経験していないとスムーズには出てこないスキルだと思います。そういったところを細かく見ていくと、過去の経験につながっている気はします。
──反対に、現職と前職で決定的に違う部分はありますか。
決定的に違うことは、KPIのような数値目標をしっかり持っているかどうかだと思います。また、改めて度胸がつきました。前職で学校の理事長先生などに会う機会が0だったわけではありませんが、現職でコールしていると、中小企業の社長様も電話に出てくださるんですよね。そういう時にも臆せず対応できるようになりました。
コミュニケーション力はインサイドセールスでも武器になる
──竹山さんから見て、インサイドセールスに向いているのはどのような人でしょうか。基本的にはまず、へこたれない人でしょうか。あとはやはり、人とコミュニケーションを取るのが好きな人でないと難しいと思います。それはコール先のお客様だけでなく、社内でも色々な人とコミュニケーションを取らなければいけないので。
もちろん会社によるとは思いますが、技術スタッフの方の中にはコミュニケーションがあまり得意ではない人もいるので、一人ひとりに合わせたコミュニケーションを取れるかどうかが大切になります。そういったシーンも出てくるので、基本的にはコミュニケーションを取ることが好きで、かつへこたれない人かどうかが一番大切かと思います。
──身につけておいたほうが良いスキルや業務経験などはありますか。
営業経験はすぐに活きます。あとはやはり、Excelやデータベース、MAツールなど様々なツールへの抵抗感がないと望ましいです。そのツールを使い込んだ経験はなくても、類似ツールを使ったことがあれば、そんなに抵抗感なく次のシステムにも馴染めるじゃないですか。そういう経験がある人は、わりとスムーズに業務に入っていけると思います。
インサイドセールスは「基本」の積み重ねで始められる
──意識的に自分でスキルアップを図ってチャレンジしていることはありますか?改めてマーケティング系の本やコミュニケーション系の本を読み直しています。あとは、外資系が続いたのですが、エージェントとして英語が苦手なので、少しでも取り戻そうと思い、少しずつ勉強を始めました。
──今後の竹山さんのキャリアビジョンを教えてください。
細切れだったマーケティングや営業の知識をエムエム総研のアカデミーで整理させてもらって、もともと入社当時から将来的にはカスタマーサクセスに行きたいという話をずっとしていました。なので、そういう意味では、インサイドセールスのエージェントとして何年間か従事することは、ある意味修業だと割り切っていた部分もあったので、そこを含めて改めてマーケティングの専門家として、カスタマーサクセス職を自分でも名乗れるようになることが第一目標ですね。
──最後に、インサイドセールスに今後転職したいと考えている方に向けて、アドバイスをお願いします。
マーケティングや営業に関する知識があったほうがいいとは話しましたが、それが必ずないとできない職種ではないと思っているので、まず興味がある方はぜひチャレンジしてみてほしいなと思います。
実際の施策や行動は、「あれ、やって当然だよね」と感じることの積み重ねだと思っているんです。ウェビナーの集客であればメール集客のプラス新規で新たなリストを探してもう一回集客する、などのように。
そこからフォロー開始までのタイミングを、できるだけリードタイムを短くすることなども「それ、そうだよね」ということの積み重ねです。そういうことをしっかり考えて動ける人であれば、すぐに対応できると思うので「知識や経験がないから」と尻込みするくらいだったら、ぜひやってみてほしいなと思います。
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執筆者
マーキャリ 編集部