この記事ではこれから営業事務を目指す方に向けて、面接や履歴書で必要となる志望動機の作成手順を詳しく解説しています。営業事務の仕事内容から魅力的な志望動機にするために注意すべきことなどを紹介していきます。例文も記載してあるので、ぜひ参考にしてください。
まずは営業事務の仕事内容を知ろう
営業事務とひとくちに言ってもその職務領域は非常に広く、会社によっても異なっていることが多いです。単なる営業のサポート役と考えているといざ仕事を始めてみたときにイメージと違うといったことになりかねません。営業事務の基本となる仕事内容についてしっかりと確認しておきましょう。
どのような業種の企業であれ、すべての企業は製品やサービスを販売して利益を得ています。製品を「売ること」に特化して活動しているのが営業職です。営業事務は営業職が見込み客との商談などの商品・サービスを売るといった営業活動に専念できるようにサポートを行います。しかし、単なるアシスタント業務というわけでもありません。営業事務は営業活動において非常に重要な役割を担う、やりがいのある仕事です。
営業職がクライアントや見込み客に提出するほとんどの資料や書類は、営業事務が作成しています。代表的なものだけでも「見積もり書」、「契約書」、「発注書」、「納品書」、「受領書」、「請求書」などがあります。営業や契約において重要な書類を作成するのが営業事務の主な役割です。
営業事務の特徴として、書類作成に加えて顧客対応を行う機会が多いことが挙げられます。営業職は1日の業務時間のほとんどを社外で過ごしています。そのため営業が外出している間の電話や問い合わせ対応は営業事務が担当することが多いです。
営業事務として働くことを希望するのなら、志望先の企業がどのような仕事を行っているのかをしっかりと確認しておきましょう。
選考で志望動機をたずねられる理由
履歴書のフォーマットには必ず志望動機の欄がありますし、面接でも必ずといってよいほど質問されます。なぜ企業がそれほどまでに志望動機を重視するのかを考えたことはあるでしょうか。経験やスキル、素質を知るだけなら自己PRや職務経歴書だけでも十分なはず。それにもかかわらず志望動機を聞く理由は、「志望者の本気度・熱意を確認するため」です。「営業事務職ならどこでもよい」という方の志望理由と、「この業界の中でも絶対にこの会社で営業事務がやりたい」と考えている方の熱意を比べるとその差は明白です。もちろん企業としては後者を採用したいと思うでしょう。
志望動機とは、文字通り「その会社を志望した動機」を伝えるもの。相手に熱意が伝わるように工夫をする必要があります。就職・転職希望者の熱意が強ければ強いほど、会社に入りたい理由を述べる志望動機のクオリティも自然と高くなります。
この会社に入社したい気持ちが相手に伝われば、入社後も精一杯努力し、活躍できる人材になってくれるだろうと企業は判断できます。志望動機は、スキルを見るものではなく、入社後に活躍できる人材になれるかをチェックするための指標の1つなのです。
志望動機の書き方
営業事務に限らず、志望動機の書き方には一定のセオリーがあります。志望動機とはその会社を志望する動機(=きっかけ)は何かということです。つまりどんなことがきっかけでその会社に入りたいと思ったのか、会社のどんな点に惹かれて応募したのかついて述べるのが志望動機です。
もう少し詳しく言うならば「その会社でないとダメな理由」となります。たくさんの同業他社があるなかで、その会社を選んだ理由を述べるのが志望動機です。つまり、同業他社を志望する際にも言えるようなことは志望動機としては印象が弱くなります。面接官は業界に入りたい人ではなく、自社に入りたい人を求めているのです。スキルや経験と同様に志望動機も重要であることは間違いありません。
志望動機を作成する際は、業界や業種に惹かれた理由だけでは不十分となるので、必ずその会社に惹かれた理由までも盛り込むようにしましょう。業界に興味を持った理由、業種に惹かれた理由、数ある企業のなかでもその会社を選んだ理由というように、大きなカテゴリーから小さなカテゴリーについて考えていくことで、抜けのない独自性のある志望動機となるでしょう。
たとえきっかけは、就職サイトの画像やキャッチフレーズに惹かれたといったなんとなくのものであったとしても、なぜそこから選考に参加しようと思ったのかについてしっかりと深堀りをしていけば、きっと魅力的な志望動機となるはずです。
面接官は何人もの志望者を面接している、いわば面接のプロでもあります。うわべだけを整えた志望動機であれば、瞬時に見破られてしまいますし、面接官から「それはウチでなくてもよいですよね?」とたずねられて返答に困ってしまうようでは採用されることはないでしょう。
ひとつのテクニックとしては、一歩すすんだ志望動機作りのために「入社後にやりたいこと」も加えることをおすすめします。これを行うことで志望動機により説得力が増すからです。「入社したい」という気持ちに加えて「入社したらこんなことがやりたい」といった具体的な行動も述べることで、採用担当からすれば将来性を見出すきっかけとなるかもしれませんし、しっかりと会社について調べてきているというアピールにもつながります。
志望動機と自己PRは分けて考える
志望動機と自己PRは混同されやすいものですが、きちんと分けて考えるべきです。たとえば志望動機を聞かれる「弊社を志望した理由はなんですか?」と、自己PRを求められる「あなたが弊社に貢献できることはなんですか?」と2つの質問に対して同じ回答というのはおかしいことが分かるでしょう。面接時の状況によっては志望動機と自己PRをまとめて述べる場合もあるでしょうが、志望動機と自己PRは分けて考えておくことが重要です。 志望動機がその会社に入りたい理由であることに対して、自己PRとはどういう位置づけなのかも簡単に確認しておきます。
自己PRは自分がいかに企業に貢献できるかを述べるもの
自己PRとは、自分自身がどんな人間でどんな能力があるかをアピールするものです。「この会社に入りたい」という気持ちを述べる志望動機は確かに重要ですが、「実際に役に立てるか」は別の問題です。志望動機だけ、自己PRだけのどちらかではなくどちらも重要なものであることは頭に入れておきましょう。
極端な例で言うと、「この会社に入りたい気持ちが誰よりも強いので、入社後も貢献できます」というのは自己PRとして成り立ちません。これも面接官の立場になれば分かりやすいでしょう。確かに会社に入りたい強い熱意ややる気があるのは魅力的ですが、それと同時に「やっていけそうか」、「戦力になりそうか」といった点も気になるはずです。だから採用シーンでは志望動機と自己PRのどちらか一方でなく、両方を問うのです。特にポテンシャル採用の新卒採用でなく、基本的には即戦力を求める中途採用であればその傾向は強くなります。
自己PRはこれまでの社会人経験の中で、転職先でも活かせそうなことを盛り込んでいきます。たとえば営業事務の経験があり、転職先でも営業事務を目指すならその経験がそのままアピールポイントになります。営業事務を行う際にどのようなことに気をつかったかなどを述べていくとよいでしょう。
営業事務職の志望動機の作成手順
ここからは具体的に営業事務職の志望動機の作り方を、順を追って解説していきます。営業事務の志望動機を考える際の柱は、「営業ではなく営業事務」という点になります。その理由は、「営業はしたくないが、営業事務ならやれそう」といった消極的な理由で志望をしても企業側は歓迎してくれません。営業事務をやりたいという積極的な理由が志望動機に盛り込めるかどうかが重要になるでしょう。もちろん、それに加えて業界を志望した理由、その業種に興味を持ったきっかけなども伝えられればベストです。
そしてひととおり志望動機が完成したら、必ず読み返してみましょう。可能であるならば、完成してすぐではなく翌日など少し時間を空けて読むことをおすすめします。その理由は出来上がったばかりでは、達成感で満たされていて、客観的な判断がしづらいからです。ひと呼吸おいて、改めて読み返した際に、「自分が面接官ならどう思うか」を想定しながら読んでみてください。最初は独りよがりな志望動機になっているでしょうが、これを繰り返すことであなただけの志望動機に近づくはずです。
営業事務の志望動機の例文
ここからは実際に営業事務の志望動機の例をパターンに分けて紹介していきます。面接の場では志望動機と自己PRを合わせて答える場面もありますが、今回は分かりやすいように志望動機に絞って紹介します。同時に答える場合は、志望動機を述べたあとに自己PRを加えれば問題ありません。
業界未経験で事務職経験はないが、営業職から転職で志望する場合
「私は5年間広告会社の営業として働いてきました。会社には営業事務職はおらず、従来はそれぞれの営業職がお客様に対して独自のプレゼン資料を作っておりました。私はお客様の反応が良かった自身の資料を部署内で共有し、営業部全体の売上に貢献できました。また、プレゼン資料のテンプレートが出来たことが各営業担当の業務負担も軽減できました。この経験は、自身が売上を上げることよりも大きく達成感があるもので、それ以降自分で売上を追う営業よりも、サポート業務の方が会社に貢献できるのではないかと考えるようになりました。これが、私が営業事務を志望する理由です。貴社を志望した理由は営業事務も営業に関する研修が受けられると聞き、営業に必要な資料や書類を把握してスムーズに業務にあたれると考えたからです。」
営業職の経験がある人が営業事務職を志望する場合には、営業職としての経験をアピールしすぎないように注意しましょう。営業としての実績をアピールすればするほど、営業し事務職ではなく営業職としての転職を志望しているような内容になってしまいますし、企業側としても「それほど経験も実績もあるのなら、営業職でチャレンジしてみないか」と考えてしまうのが一般的だからです。営業事務では、営業職としての経験は大いに役立ちますが、「営業の経験を活かして営業事務をしたい」といったものに終始しないよう、営業事務を魅力に感じた理由、営業ではなく営業事務を志望する理由をきちんと志望動機に盛り込むようにしましょう。
業界経験あり・営業事務経験なしでエンジニアから転職で志望する場合
「これまでは4年間マーケティング企業でエンジニアとして働いてきました。エンジニアとして、商材となるさまざまな業務ツールを設計していくうちに、商材という部分的なものではなく営業活動全体のサポートがしたいという気持ちが強くなり、営業事務を志望いたしました。マーケティング業界は、常に正解がなく変化や発見がある業界なので、今後もマーケティングに携わっていきたいと考えています。現職では、別部署との関わりはほとんどなく、また営業事務という職種もなかったため転職を決意しました。貴社は、営業とマーケティング部、エンジニアまでを1つのチームと捉えていらっしゃると聞いています。自身のエンジニアとしての経験が活かせるのではないかと思い志望いたしました。」
たとえ営業事務の経験がなくても、同業種・同業界での経験があれば、面接官からは「話が早い」と思われて大きなアピールポイントになります。志望動機を述べる場合には、現職で魅力に感じていることがそのまま業種・業界についての志望動機になります。それに営業事務職へ感じている魅力、転職を志望する会社に感じている魅力を付け加えていきましょう。同業種から他職種へ転職する場合の注意点としては、「今の会社ではダメな理由」を必ず付け加えること。今の会社で営業事務職に異動するのではダメな理由は採用側も気にするところです。異動が認められなかった、そもそも営業事務がないなどといった事実を述べれば問題ありません。
業界経験なし・営業事務経験ありで広告代理店の営業事務職から不動産の営業事務職を転職で志望する場合
「私は広告代理店の営業事務を4年間勤めて参りました。個人のお客様からの問い合わせ対応や見積書の作成、資料の発送などが主な業務です。営業部署のサポートは大きなやりがいがある仕事ですが、業務の経験を重ねるうちに営業担当者だけでなく、部署全体を差ポートできる業務に携わりたいという気持ちが大きくなりました。今回は営業部全体の管理を行う事務ということで応募させていただきました。」
営業事務から他社の営業事務へ転職をする場合には、「なぜ今の会社ではダメなのか」といった理由が必須になります。今の会社では担当できない業務まで幅広く行いたいなどといったことまで志望動機に盛り込むようにしてください。 同業界や同職種からの転職の場合は、経験の有無にかかわらず「今の会社ではダメな理由」は必ず付け加えるようにしてください。